約 243,950 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/104.html
第5話「白子とご主人様の戦闘準備」 「ご主人様にお願いがあります」 三人でのんびりくつろいでいたとき、白子が妙にかしこまって俺に声をかけた 「ん? なんだ? 改まって」 「実は私…。バトルに、参加してみたいんです!」 「ぎゃにぃい!?」 「し、白ちゃん!?」 まさか、こんな事を言うとは… 「黒ちゃんが毎日うなされてて、私たちにはどうすればいいのか分からない…」 「それは俺だって考えている。でも…」 「そんな、だって…。白ちゃんまで怖い目にあうこと無い!」 あわてて止めようとする俺達二人を白子はかぶりを振って静止する 「一杯、考えたんです。…私も、一度戦場に行ってみたら…何か分かるかも…」 白子が一瞬うつむくが、すぐに凛と顔を上げ 「もう、決めたんです」 その表情を見て、俺も黒子も、白子の説得は不可能だと察した しばし沈黙が流れ、やがて意を決したように 「ボクも、出る!」 「黒ちゃん!?」 「ボクが原因なのに、白ちゃんばっかりにやらせることなんてできない!」 俺は頭痛を感じたが、戦場の恐ろしさに立ち向かうことで黒子のトラウマも軽減されるかもしれない そう思えば、俺に出来ることはたくさんある 「タッグマッチの部門もある。二人ペアで参加するのがいいだろう」 「ご主人様…!」 白子がとがめるような声を出す。過保護な部分がある彼女は黒子を止めるべきだと考えているんだろう しかし、俺はそれを黙殺し、 「それと、二人に、新しい名前をつけてあげよう」 「ご主人様?」 「え? なんで?」 「せっかく試合に出ると決めたんだ。それなのに白子黒子じゃあまりにおざなりだろ?」 「あ、やっぱり自覚あったんですね…」 「じゃあ、ご主人様はボクが試合に出るのに賛成してくれるんだ!」 「ああ、いずれこういう日がくるかもと思って考えていた名前があるんだが、…マリンとアニタってのでどうだ? 白子がマリンで、黒子がアニタだ」 「マリンと、アニタ…ですか」 「いい名前です! 気に入りました!」 「そうか、気に入ってくれたか…。なら、お前達が史上最強の神姫として君臨できるような武装も用意せねばならんな…」 「は?」 「えっと?」 「クククク、待っていろ二人とも、俺が持つすべての技術を結集して究極の装備を開発して見せるぞ! フフフフフ、ハァーッハッハッハッハッ!」 「ご主人様!?」 「き、気を確かにしてください!」 なんか二人が心配していたが、俺は体中にやる気とアイデアが満ち溢れるのを感じていた ―――次の日の夜 「う~、ご主人様遅い…」 いつに無く落ち着きが無い白ちゃん…じゃなかったマリンちゃん 確かにちょっと遅いけど、まだ電車一つ分くらいしか遅れてない 「マリンちゃん…探しにいっちゃだめだよ」 ボクは面白くなって、ちょっと意地悪な声を出しちゃう それにマリンちゃんがぷぅ、と頬を膨らましてちょっと怒ったような声を出そうとした瞬間 バターーン! という、玄関を蹴り開けるような音が響き、 「ただいまぁ!!」 いつもと比べて異様にパワフルなご主人様の声が響く 昨日はひたすら紙にボクたち用武装ユニットの設計図を書きなぐって一晩明かし、 始発が動き始める時間には「早速上司を説得だ!」とか叫んで家を飛び出していったので非常に不安だったけど、一日中ハイテンションは続いたようだ 「マリン! アニタ! 所長を説得して、スポンサー契約を取り付けたぞ! これでうちの研究所が総力を上げてお前たちのバックアップを行う体制になった!」 急な展開に思わず呆れるボク。マリンちゃんは一瞬ふらついたが、すぐに気を取り直してご主人様に噛み付く 「何でいきなりそこまで話が大きくなってるんですか!?」 そんな言葉をご主人様は全く無視してまくし立てる 「二人のための武装も、マリンのは4日後、アニタのも8日でロールアウト予定だ」 完全新規設計の武装ユニットをたった4日で…。でも 「ボクのは後なの?」 「ああ、それだけでなく、マリンのはサード基準、アニタのはセカンド基準の出力になっているから、セカンド昇格まではマリン一人で戦ってもらう」 「ど、どうしてですか?」 「マリンちゃんだけ戦わせるなんて…!?」 「厳しいことだが、これはスポンサー契約の条件の一つだからどうにもならんことだ。ついでに3ヶ月以内にセカンドに昇格できなければスポンサー契約は打ち切られる」 「たったの?」 「一人でやるのに、それは短いよ!」 あまりに無茶な条件にボクは大声を出してしまう 「大丈夫、サードからセカンドに上がった最短レコードは1週間だ。まあ、シングルで、八百長試合の噂が耐えない奴だったが…。それに比べれば競技人口の少ないタッグなら3ヶ月くらいでいける、かもしれない」 「でも一人でなんて!」 「まって、アニタちゃん…。いいの、私やる。ご主人様が出来るって言ってるんだから、それを信じる」 「マリンちゃん…? だって戦うのって危ないんだよ! 怖いんだよ!」 「わかってる。でも、怖いものから逃げちゃ駄目なの。アニタちゃんもそれに立ち向かうって決めたんでしょ?」 「マリンちゃん…」 「大丈夫、サードはヴァーチャルが基本だから、危険は無い、はず」 無責任な事を言うご主人様 「ご主人様…!」 ボクは思わず咎めるような声を出してしまう。でもマリンちゃんはそれを制して 「アニタちゃん、ご主人様を信じられないの?」 「そうじゃないけど…!」 「そうだ、俺を信じろ。俺の何よりも誇れることは、技術力だ。この世の何よりもな」 そう力強く宣言するご主人様。ボクは長らく黙っていたけど 「…はい」 と頷くしかできなかった 「とりあえず、武装データは先行して完成させてきたから、これでヴァーチャルトレーニングできるぞ」 といって、押入れから訓練機を引っ張り出してくるご主人様。そんなの持ってたんですね… 「それと、これもだ。昔、知り合いの研ぎ師に遊び半分で作らせたものだが、本物の業物だ。これも信頼しろ。俺の次にな」 そういって取り出したのは二振りずつのナイフとマチェットだった。鈍く輝き、見るからに鋭そうな… 「これは…?」 「作ったのは俺じゃないが、設計自体は俺がした。製法も素材もこだわってあるから、硬度も切れ味も並じゃないぞ」 「ご主人様…、本当はボク達にバトルさせたかったの?」 「まあ、そういう気持ちも無くは無かったが、バトルにはあまり興味ないといわれて諦めていたよ」 そういって笑ったご主人様。いつも以上に生き生きしているように見えるけど気のせいだと思っておこう 「とりあえず、俺は出来る事をすべてやった。後はお前達に任せるよ」 「はーい!」 「ご期待に沿えるよう努力します!」 誤配送のときには感じなかった、ゆっくりと温まっていく高揚感。戦うのは怖いけど、ご主人様とマリンちゃんが一緒なら大丈夫 そんな気持ちがボクの心の奥底から湧き上がってくる。やっぱり、ボクも武装神姫なんだ… その夜、久しぶりに、ボクは悪夢を見なかった 続く
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/822.html
「『ALChemist』…よし、ここだ」 ぽちとたまが充電のために寝た後、PCの画面を見てひとり呟く。 何をしているかというと、先日のぽちの勝利の祝いとして何か買ってやるために何がいいかネットをさまよっていたのだ。 そして見つけたのがこの『Electro Lolita』というブランド。可愛らしいデザインで俺が着せたい…もとい、2人も喜ぶだろうと思いこれに決めた。 もちろんたまにも買ってやるぞ?なんたって俺が着せたい…ゲフ、ゲフン、たまの存在だって勝利に影響を与えてるんだからな。 「それで、場所は…お、アキバか。そういや最近行ってなかったな」 独り言が増えたかな?まぁいいや。明後日は日曜だし、間宮でも誘って行ってこよう。 と、いうわけで当日。 「んじゃ、野暮用で間宮と出かけてくるから、よろしくな」 「んー、避妊はちゃんとしないとダメだよー!」 「たッたま!バカなこと言わないのっ!!…あの、気を付けて…」 「否認?よくわからんけどまぁ、行ってくるわ」 それから地元の駅で待ち合わせしていた間宮とアイカと共に、30分ほど電車に揺られて昼前にやっと我らが聖地秋葉原に着いた。40年くらい前には2時間くらいかかったらしいな、科学の進歩は素晴らしい。 「うおー、久々だなぁ、ここ」 「うん、私も久しぶりに来たよ~」 前に来たときから変わってないな。正面には大人の…いや、それはいいや。 「んじゃま、もうすぐ昼だし飯でも食うか」 「そうだね~。じゃあ…あそこのお店入ろ~」 そう言いながら間宮が指差しているのは俗に言うメイド喫茶ってヤツだ。 「ん、あれは…まぁいいか」 今日付き合ってもらってるわけだし行きたいところに行ってやろう。ぶっちゃけおもしろそうだ。 「お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様方!」 店に入るとメイドさんが出迎えてくれた。お嬢様方ってのはアイカも入ってるんだろう。 「ふぇ…お嬢様って…私…ですか…?」 「はい、お嬢様、こちらのお席にどうぞ!」 アイカがびくびくしながら尋ねるとメイドさんは窓際の席に俺達を案内してくれた。 こういうとこは高いんだろうな…とか思いつつメニューを見る。ん、これ… 「あれ~、『武装神姫用メイドグッズゲットキャンペーン』だって~。なんだろね~」 俺が言う前に間宮がそれを読み上げた。するとテーブル脇に待機していたメイドさんが、 「えぇ、1000円以上ご注文のご主人様にヘッドドレスやエプロン等のグッズを差し上げています。メーカー公認なんでバトルにも使えますよ」 と、説明してくれた。 なら、もらうしかないじゃないかっ!! 「行ってらっしゃいませ、ご主人様、お嬢様方!」 店から出た俺と間宮の手にはしっかりとフリフリの付いたエプロンが握られていた。 「ぁの…桃ちゃん、私…着るの……?」 「うん~、可愛いと思うよ~」 そう間宮が言うとアイカは少し考えるような顔をしてから真っ赤になり、バッグの中に潜ってしまった。 まったく、かわいいやつだぜ(*^ ^*) 「よし、じゃあ目的地に向かいますかっ」 俺達が目的地としているMMSショップ『ALChemist』はここからは少し歩いたところにある無線会館の地下2階にあるらしい。 「そういえば間宮は行ったことあるのか?」 「うぅん、ないよ~、初めて~。なんだか『槇野 晶』っていう女の人が店長さんなんだって~」 「あぁ、そうらしいな。確かその人が服のデザインとかまでやってんだろ?すげぇよな」 「うん~私も前にアイカに作ってあげたけど、きれいにできなかったよ~。――あ、あそこだ~」 話ながら歩いているうちに無線会館に着いた。ここの地下だな、うん、わくわく。 「いらっしゃいませですの!えと、初めての方ですよね、ゆっくり見て行ってくださいですの♪」 到着した俺達を迎えてくれたのは綺麗な蒼い目の可愛い女の子だった。 「悠くん、あの店員さんかわいーね。外人さんかな~?」 さっそく商品を見始めた俺に間宮が小声で話し掛けてくる。 「じゃないかな?てかパーツとかも色々あるんだな。来てよかったよ」 さすがは有名なMMSショップなだけあって、品揃えは確かだ。それで、『Electro Lolita』は…と。 「お、これか」 色々なデザインの服飾品が並んでいる。それはネットなんかの画像で見るのより繊細で、見入ってしまった。 しかし…どういうのがいいんだろうか。可愛いのもいいが、2人が喜ぶようなのがいいし。 全部買う ひたすら悩む →店員さんに聞く よし、ここはあの店員さんに聞いてみようかな。 「すいません、妹…うちの神姫に欲しいんですが…どんなのがいいんでしょ?」 「はいですの、神姫の好みとかはわかりますか?」 すぐに笑顔で対応してくれる店員さん。いい人っぽいな。 「うーん、好みか…2人なんだけど、片方は機能性とかあると喜ぶかな。もう片方は動きやすいのがいいと思いますね」 店員さんは少し考えて、数着の服を選んでくれた。 「これなんかが条件に合うと思いますの。でも、神姫はマスターが自分のために選んでくれたものが一番うれしいんですの♪」 ふむ、確かにそうかも…って自惚れかな?そんなことを考えながら店員さんが選んでくれた服を見ていると。 「葵、そろそろ私が代わろう―――っと、接客中か」 奥の方から声が聞こえた。 「ようこそ、気に入ったものはあったか?」 声の主はこちらに近づいてきたらしい。誰が来たんだ?そう思って顔をあげると… 「いいのが多くて悩んじゃいま……ょぅι゛ょ?グハッ!!」 そこにいた幼…女性に蹴りをいただいた。 「誰がょぅι゛ょかッ!私は槇野晶だ!客とて容赦はせんぞ、次はないからなッ!」 「すみません…ってあなたが店長さん?」 どう見ても子供なのに、ということばを飲み込んだ。 「いかにも、そうだが?見た目で人の中身まで判断するのはよくないぞ」 またすみません、と謝って商品の吟味に戻る。お、これなんかぽちにいいな。 「それにしますの?」 葵と呼ばれた店員さんが聞いてくる。 「ふむ、それか。それは動き易さを重視したタイプだがデザインもよかろう?…それとなると、落ち着いた性格の…ハウリンか」 選んだ服だけでぽちのことを言い当てた槇野店長。この後、たまの服を選んだ時にも性格やタイプを言い当ててみせた。 この人から神姫への愛、というかそんな感じのものをとても感じられる。本当に神姫が好きなんだろうな。 「ありがとうございました、またどうぞですの♪」 「うん、是非また来させてもらいます」 しっかり選んだ服を持って店を後にする。 「すごかったね~いいの買えた~?」 確かにすごかった。是非また来たいな、よければ店長さんとももっと話したいし。 「あぁ、また行こうな。今度は2人も連れてきてやろう」 そうそう。早く帰ってプレゼントしてやるんだ、喜ぶ顔が目に浮かぶ! つづくぅう
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/773.html
第六幕。上幕。 ・・・。 2035年12月31日。千葉峡国神姫研究所。 大晦日の夜も既に更け、除夜の鐘が遠く響こうとする時刻。既に所員たちのほとんどは帰途につき、その研究所も一年を終えようとしていた。 常夜灯以外の電源が落とされた研究所。しかしそんな沈黙が支配する中で、今尚、所長室には明かりが灯っていた。 小幡 紗枝は、彼女の体躯にしてみれば十分に大き目の事務机の前に座り、その目の前に置かれてあるクリアーカバーで蓋をしたケースに静かに視線を向けていた。 幾度と無く、それに手を触れ・・・しかしやがて離し、大きな溜息と共に椅子に深々と座りなおす。 こんな事を、彼女は一週間も続けていた。 その器の中には目を閉じて眠っているような一体の神姫。違う・・・眠っているのではない。そのCSCは二度と起動する事は無く、その瞳は二度と開かれる事は無いのだから・・・。 そう、『死んで』いるのだ。彼女は。 「ゼリス」 小幡は呼びかけると、その年齢相応の皺が刻まれた顔を両手で覆った。 「・・・」 エゴだろうか。 これまで数十体という神姫のボディを、『失敗作』という名目でCSCを埋め込まず、起動さえさせずに分解してきた自分が。 最早『死した』神姫を、かつての自分のパートナーであるという理由だけで・・・それを分解する事を躊躇うとは。生前の彼女がそれを願っていたというのに。いや、だからこそか。何故、彼女がそんな事を、こんなに辛い事を自分に託したのか。それが理解できないまま。 これほどに。自分は未熟であったのか? ゼリスが遺したZFというファイル。そこには、確かに彼女からのメッセージが込められていた。『自分のボディを分解してほしい』と。『娘たちに、それを受け継いで欲しい』と。 だが、果たしてそれを、簡単に受け入れる事が出来るだろうか? 貴女の『心』を、最後まで・・・私は見る事が出来なかったの? 目をやれば、変わらず。口元に静かな笑みさえ湛えて彼女は永眠についている。美しい翠の髪も。草色のスーツラインも何も変わらない。その合成樹脂によって作られた体を横たえ、昏々と眠り続けている。 この姿を、この姿を失えと? この姿を、私自身に壊せと? そう言うのですか? そんな事を託すなんて。 いや、かつて、我武者羅に研究に打ち込んでいた自分ならば可能だろう。だけど。今、ここにいるのは。 (貴女のパートナーなのですよ?) 幾度目かの溜息。出来ようか。そのようなことが。 そもそもは、探していたのだ。 彼女たち、神姫という人工の存在が。それでも時折見せる『心』の場所。CSCと呼ばれる多大なブラックボックスを内包した超集積プログラミングシステム。それは、口調や性格のパターンを複雑化し、限界まで叩き込んだ人工AIの一種。 組み合わせさえ選べば、性格、精神年齢さえ自在に変える事が出来る、その技術の結晶たるCSC。だが、時として人が作り上げたプログラムが介入できないレベルにまで神姫は・・・この世に現れてからずっと、明らかな不確定要素的な因子を示していた。 それを、小幡はあえて『心』と呼び、解明を行おうとしていた。 やがて。 言語、通訳。朗読や踊り、歌など。『芸術・文化的要素』を強化した神姫シリーズが発足するにあたり、その一つのタイプ・・・通訳等での活躍が期待される言語・発声能力特化型神姫のプロトタイプを峡国研究所が製作し、小幡自身がそのテスターとして『彼女』を受け取る流れになった。 それまで個人では神姫を迎えた事の無かった小幡にとっての、言うなれば、長く『彼女達』と付き合ってきたにも関わらず、『初めての神姫』。 ようやく完成したタイプナンバーはCRZR-C003。プロトタイプ・・・MMSネームを『クラリネット』と名付けられ、小幡の手に渡った。 心の究明の手伝いにもなるだろうと、軽い気持ちでそれを引き受けると。彼女はCSCを生まれて初めて、自分の手でボディにセットした。 そして。その銀の眼を、ゆっくりと開けた神姫が最初に行った行動は。 CSCに基本として導入されているはずのマスター初期確認でもなく、ネーミングのセッティングでもなく。また、自身のコードナンバーを読み上げる事でもなく。 微笑みを・・・優しく浮かべる事だった。 『はじめまして、マスター』 美しい声でそう言って。 小幡の中で、それまで積み上げてきた全てが崩壊していくと同時に。何かが大量に流れ込んできて。意味も解らず、突如としてぽろぽろと涙を流しはじめた彼女を、慌てて『ゼリス』は宥めていた。 (・・・それまで。私は常に無機質な世界を見つめていた) 数式とデータによって支配され、怒濤の様に流れていく歴史に取り残されまいと。虚ろな瞳で急くように走り抜けていた。 それがこの世界の法であると信じて。 だが、彼女と出会い。彼女と暮らす事で。時間という風が緩やかになっていく。 相も変わらず忙しい日々。神姫のパーツ開発、また、武装神姫プロジェクトの発足によるテスト武装の試験。 それでも。その風は緩やかに吹いていた。 『風に、憧れます』 そう言った彼女に、風になりたいのかと聞いた事がある。 『いいえ? 風になりたいのではなく。風に憧れるのです』 謎々のような事を言って。ゼリスは笑った。 少し不思議な感覚を有している彼女は、しかし研究所の皆からも愛されていた。 やがて。 第一期武装神姫の武装テスト中、彼女のCSCリンクシステムに異変が発見された。 記憶の消失。どうしようもない欠陥の発覚。 泣きながらも真実を伝える私に。彼女は微笑みかけたのだ。 『・・・とても、とても嬉しいです』 何故? どうしてかと問う私に。 『だって。これだけの想いを、私は受けているのでしょう?』 そう言って、ようやく彼女は静かに泣いた。 想いを『受けている』? 私は、その感覚を理解する事は出来ず、戸惑いと悲しみに打ちひしがれるだけだった。 ・・・。 ふと、涙の温かさを感じ。小幡は顔を上げた。 涙。 そうだ。いつから、私は涙を流せるようになったのだろうか? ただ、灰色で。無機質な日々でしかなかった。彼女に会うまでの、それまでの生きてきた長い日々。 その世界を。風が吹きぬけるように・・・色取り取りの美しい世界にしてくれたのは。他ならぬゼリスだった。 ほんの少しの、ちょっとした事で心が揺れる事を知り、喜ぶ事を覚えたのも。 海を眺め、空を見上げ、移り変わる世界に思いを馳せながら、夢を描く事を知ったのも。 頬を濡らす涙を流す事を教えてくれたのも。 全ては・・・彼女と共に、歩み始めてからではなかったか。 『・・・マスターは』 ふっと、思い出したようにゼリスは銀色の瞳で私を見つめた。 『とても人らしいヒト、ですね』 いつものように謎々のような事を言う彼女。 私は最初から人ですよ? と困ったように問い返した私に。 『えぇ、けど。最近とってもヒトらしいなって、思うんです』 そう言って、イタズラっぽく。彼女は笑った。 「そうですね・・・」 ゼリスと出会い。 「私の方・・・だったのですよね」 『神姫』である彼女に照らされるように、それまで何事にも急き走り続ける事しか出来なかった私が。 「貴女と出会う事で」 ・・・共に生きる事で。 「心と、心が触れ合う事を知りました・・・」 涙がケースに滴り落ちる。 「『心』を生む事が出来たのは、私の方でした」 人である私が。神姫であるゼリスから。 人としての心を貰って。 『人になれた』のだ。 ・・・。 小幡はコンピュータのモニタートップの『ZF』と名付けられたファイルを見つめていた。 ゼリスの言葉。ゼリスの声。ゼリスの姿。全て、そこには宿っている。 そして。遺志さえも。このちっぽけなプログラムの中に。 小さくても。そこには確かに翠色の風が、宿っている。 ・・・。 「翠?」 ふっと。 小幡は、目の前で眠り続けるゼリスの髪に目をやった。美しい髪色は、全く変わることなく艶やかに流れ、その肌は今も生前の美しさを保っている。 「・・・」 瞳が揺れた。 彼女は、ようやく。 その、長きに渡る研究と。自分が抱いてきた謎の解を知った。 (『違う』) 人ならば既に、色も何もかも変わっているだろう。 その身は荼毘に伏され、美しい姿を残す事も無く、今は写真を眺めるくらいしか出来ないだろう。 彼女達は人ではない。神姫だ。それは解っていた。それは理解していた。 だが、いつから? いつから勘違いをしていたのか? その体は人工の物。作り出された美しい樹脂の結晶。 そして・・・その『心』もまた、『人間に似せられて人工的に作られている』と。そう信じてしまっていた。それは間違ってはいない。CSC、ヘッドコア、ボディユニット。 全ては人が生み出し、人が作り上げた存在である。 だが・・・だが、それでも? それでも、彼女たちの心を人が作ったと言えるのか!? 「違う・・・」 今度は口をついて出た、その言葉。 神姫は。 『神姫の心を有している』。 『心』を解明しようと。その心が生まれる瞬間を知ろうと。彼女を迎えた時には。 『神姫の心』を、『ヒトの心のミニチュア』としか考えず。彼女はいつしか・・・ただ、その既に出ていると思った結論を受け入れようとして、それをただ科学的に証明しようとしていただけだったのだ。 人の心を元に。神姫の心があると信じていた。 「そうではない・・・そうですね?」 答えぬパートナーに、小さく笑いかける。何と愚かなマスターだろう。そのような事は、貴女がずっと。ずっと伝えてくれていたのに。 『神姫には。神姫としての。ツクリモノではない。確かな心がある』。 小幡は後悔の涙を流した。 「許してください・・・ゼリス」 私はずっと、『人の心』の尺で全く違う存在を計ろうとしていたのだ。どれほど、心の解釈を彼女に押し付けただろう。 「貴女は・・・全てを知っていたのでしょうね」 ゼリスは、それらを神姫の心で受け止め、そして。それこそ命尽きるまで答えてくれていたのだ。 だとすれば。 「・・・」 彼女の遺志。それもまた・・・人の心では計れぬ行為なのか? 「貴女は・・・『神姫』として、何をしようとしているのですか?」 問いかけ、その心に想いを馳せる・・・。 その遺志は、彼女の・・・『自分を残す事』。 小幡の動きが止まった。浮かべていた哀しい笑みが震えるように崩れ、目が見開き、驚愕の面持ちに変わっていく。 「まさか・・・」 それは。神姫である彼女であればこその。 『継承的行為』。 「あ・・・あぁっ・・・?」 小幡はケースを、震える、その少し節くれだった手で抱き上げた。少し揺れ、中のボディがカタリと壁にぶつかった。 「・・・貴女は・・・!」 眠り続けるパートナーは静かな微笑を湛えている。 人は死して名を残すという。子を残し、身体は自然に帰し、いつしか大地に戻る事が出来る。 ・・・神姫は。作られた体の神姫は。その身体を残す事しか出来ない。その美しい、姿だけは残さんとする。 愛してくれた主の為に、大切にしてくれたマスターの為に。彼女達はたくさんの思い出が詰まった身体を残すだろう。 「・・・そう」 『身体しか残せない』のだ。 彼女達はそれ以外に、それこそ何も抱かずに生まれてくるのだから。母も父も、子も無く。ただ、生まれてくるのだ。 自分が自分であったという証拠。それさえも。貴女は。後の神姫に、渡してくれと。 『そんなに驚いた顔をしないでください。ずっと前から決めていました』 ・・・。 その決断を下して。どれほどの恐怖と戦いましたか? 死した後、自分の身体が切り刻まれる事への恐ろしさは、人の比ではなかったでしょう。 どれほどの哀しみを抱きましたか? 自分が『いなくなる』という事を思い、その小さな身体で、絶たれる未来に・・・どれほどの哀しみを宿したのですか。 どれほどの涙を・・・私達に見せないように流したのですか? それは神姫にとって、『全てを失う』に等しい行為なのに。ただ。『母』として。姿も知らぬ『娘達』に心を込めた身体を贈る事を。 『身体を失っても。マスターや皆さんと一緒に、『心』があります』 ・・・。 小幡は、止め処なく零れ落ちる涙の中。確かにその声を聞いた。 信じていたのだ。科学的に何も実証されず。人間でさえ信じようとする者が少ない、その、掛け替えの無い物。 『心』。 それは。彼女が。 恐らくは世界で始めて、自らの意思で『死す事を選んだ』神姫である彼女が。 誰よりも優しく、妹たちを、娘たちを見つめていた彼女が。 子を為す事も出来ず、自身の未来さえ絶たれた一体の神姫が。辿り着き、望んだ、最後の結論。 彼女に許された唯一の・・・『未来を紡ぐ方法』だったのだ。 ゆっくりと小幡はケースを手に立ち上がった。 「ありがとう・・・」 貴女を作ったのは私。 私の心を生んでくれたのは・・・貴女でした。 返さなくてはならない。この恩を。 私を人にしてくれた貴女へ・・・身を裂かれる様な思いに貫かれても。『人の心』が、苦しいと悲鳴を上げても。 貴女への恩に報いましょう。 未来を、紡ぎましょう。 なおも重い足を、それでも作業場に向ける。 少し疲れたような微笑を浮かべ、ケースを開けて。翠の髪を指先で軽く梳かす。 「受け継ぎましょう・・・」 貴女の、遺志を。 『人としての心』を持つ私が。貴女の『神姫としての心』を・・・受け継ぎます。 母として。友として。 そして・・・『娘』として。 ・・・。 夜が白々と明け始める頃。作業は終了した。銀色の小さなケースを載せた台車を押して、小幡は酷い表情で再び所長室に戻ってきた。 長く息をつき首を振る。想像通り、それは凄まじい精神的苦痛を伴った。心が砕かれるような思いの中。それでも彼女は・・・全てをやり遂げた。 CSCの神経リンクとの硬着。今の規格とは違いすぎる・・・完全な旧式化で使えないパーツ。最早、ほとんどの部分が利用できないと覚悟していたが。それでも少しながら、利用可能な部位を取り外す事が出来た。 銀色の、小さなケースを机に並べていく。 数は僅かに5つだけ。 どんな神姫がこれを受け継ぐのだろう? そんな事を思い、ふっと、小幡は苦笑する。 こんな旧式のパーツ、きっと『いらない』と笑われるだろう。普通に考えれば。 だから、これを受け継ごうとする、受け継ぐ神姫は・・・貴女に似て、少し、変わっているのでしょうね? ゼリス。 まだ姿さえ知らぬ・・・彼女たち、『ゼリスの娘たち』は。 一つ目のケースには『喉』。 それはクラリネットタイプの特徴の一つ。声帯を内包した部位。様々な言語を使いこなす・・・透き通るようなあの、声量豊かな声。 この喉を受け継ぐ神姫は・・・その美しい声を響かせ、それに乗せて『心を伝える』事になるだろう。 二つ目のケースには『脚』が一対。 少し古い感じのするデザイン。ゼリスのスーツカラーがそのまま残る場所だ。堅めの足裏でカタコトと、小気味良い足音が今はもう懐かしい。 この脚を受け継ぐ神姫は。どれほどの困難があろうとも。強い意志で『心と共に歩む』だろう。 三つ目のケースには『手』・・・。 高質樹脂ではない。少し表面がざらついているのが特徴の合成樹脂。どことなく、彼女らしい素朴な感じのする小さな手。 受け継ぐ神姫は、全てを優しく抱きしめて来た手で、『心を包む込む』事だろう。 四つ目のケースには『眼』が入っている。 光を宿す銀色の瞳・・・相手の目を見つめて話す事を心がけていた、彼女の柔らかな、表情豊かな視線を宿した部位。 受け継ぐ神姫は、目を逸らしたくなる過去さえも乗り越え・・・真っ直ぐに『心を見つめる』神姫だろう。 そして・・・。 最後の一つのケースを机に置く。それだけは少し小さ目なケース。そして他の物よりも、遥かに丁重に扱われるように、多重のケースに入れられている。 (・・・。・・・) 何故、この部位が全く損傷無く取り外せたのか。CSCが活動を停止した今。それが取り外せたのは奇跡に近い。 小幡は明るくなりつつある空に目をやり、窓を開けた。 風が吹き込む。 貴女は私の娘。 そして、私は貴女の娘・・・。 上りつつある陽に目を細めながら、小幡はゆっくりと言葉を紡ぐ。 「全ての妹たち・・・」 陽光は輝き、闇の空を開けていく。 「・・・全ての娘たちよ」 肩に、確かに彼女を感じる。いつものように穏やかな表情で、その美しい声を響かせて。 冷たい風が髪を遊び、カーテンを軽く吹き上げる。 翠の髪、銀の瞳。パールと草色のスーツを身に纏った、美しい神姫がいた。 プロトタイプ=クラリネット。名をゼリスという。 流れ往く時間の中で。彼女の名はいつしか忘れられ、歴史に埋もれていくだろう。 (消えはしない) 彼女は言ったのだ。『心』がありますと。 世界で始めて、母となる事を選択した神姫。 (消せはしない・・・) 声が重なっていく。 「貴女たちを、愛しています。これまでも、ずっと。これからも・・・」 自分の声と、他ならぬ、優しい『母』の声。 「そして・・・」 重なり、やがて。 あの、懐かしい声が響いた。 『想いと共に。未来を紡ぎなさい』 西暦2036年。1月1日元旦。 全てが忙しなく流れ往き、歴史の波濤が全てを覆い尽くす時代。 そんな中でも時として。 草色の風が舞い、緩やかな『想い』が彼女達の髪を梳き・・・流れる事があった。 第六幕。下幕。 第六間幕
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1908.html
彼女は強い。 それは承知していたはずだった。 しかし、思わず愚痴が出る。 「なにも、こうも簡単に…、嫌な娘なンだからッ」 彼女は公式バトルの経験はほとんどない。 事実、バトル用の筐体に入った彼女のパラメーターは新参のそれだった。 LP lv.0 SP lv.0 攻撃 lv.1 命中 lv.1 回避 lv.1 防御 lv.0 総合lv.3 今しがた受けた忍者刀での攻撃も、ダメージは軽微。LPも合計200弱ほど持っていかれただけ。ただ、その攻撃の内容が問題だった。 まず、彼女の気配を察知することができなかった。そして攻撃。交錯する瞬間に放たれたその一振りは、確実に自分の左手首に当たっていた。これまでに受けた攻撃は合計三回。最初は足だった。右足、そして左足の順で攻撃を受けた。もちろん、神姫バトルでは攻撃が有効か否かだけで、攻撃部位によって、被ダメージが変わるということはない。どこで受けても一定の計算式に則った値が自分に与えられたLP値から引かれるだけだ。 しかし、その、相手の四肢から攻めて動きを止める、という明確な意志が籠った攻撃は、屈辱でもあったが同時に驚きでもあり喜びでもあった。今まで神姫バトルで部位を考えて攻撃するなどということは、自分が知るどの神姫もー、必然が無かったからではあるが、採ったことが無い行動だったからだ。攻撃を受けたことは屈辱だが、これまでにない新しい経験をできたことに喜びを感じていた。 「流石イリーガルの相手をしている、ってことよね」 しかし、自分の攻撃も当たらない。本来なら、パラメーター上では決してはずすことのない回避レベルである。それでも彼女は遮蔽物を巧みに使い、パラメーターの低さを補っている。補う? 訂正。恐らく彼女は己の回避レベルを意識していない。 本当に戦っているなら、もう勝敗はついている。 しかし、これは公式ルールに則った神姫バトルだ。改めて、自分のステータスを確認する。次の接敵でスキルを発動させられる。 ひょい、と目の前に彼女が現れた。忍者刀の間合いにはまだ少し遠い。 「これで終わりにするよッ!」 クライモアを振り上げた。 春。東京、某大学。サークル棟。「神姫同好会」サークル室。 その少女、山崎恵子は目の前で繰り広げられたバトルに思わず声をあげた。 新入生の勧誘を兼ねて行われたエキシビジョンマッチである。 「すごいよ、巴」 テーブルで一緒に観戦していた自分の神姫に声を掛ける。 「はい、マスター。勝者の方も凄いですが、Cランクであそこまで戦ったあの忍者型は本当に凄いと思い………ます」 巴と呼ばれたその種型の神姫は己の主人の声に応える。 周囲では、山崎と同様に勧誘を受けた新入生たちが、ある者は興奮しながら、またある者はささやくように己の神姫と今のバトルについて意見を交わしていた。その内容は山崎恵子たち同様、短時間でspを溜め込みドラゴンクラッシャーを放った、勝者の花形神姫に対するものだった。 勝者の花型、名をゲンドゥルという、がマスターである間中優の手のひらの上で観客の新入生らに手を振って呼びかけをした。アーマー類は花型の標準武装のそれである。ボディ・アーマー部には青のグラデーションで、音楽のフォルテを模したと思われる記号が配されていた。 ゲンドゥルは打ち合わせていた通りに勧誘の台詞を話し始めた。 「皆さん、見てお解りいただけたように、この同好会は上位ランカーでなければ入れない、というわけではありません。いろんな方々に入って頂きたいんです。今でこそ神姫バトルがメインになっていますが、武装神姫である必要はありません! 互換があるMMS素体のマスターであればオッケー。神姫の服飾デザインに興味のある方や小物作りが好きな方なんかも大歓迎! あたし自身もバトル以外でも素敵な衣装が欲しいしね。気づいていると思うけど、室内の棚に飾っているのは同好会のメンバーが作った………」 「あ、すいません。じゃぁ、ウチの子なんかもいいんですか」 質問を投げかけた新入生の肩には、ホットパンツにビキニを纏ったMMSがちょこんと腰をかけていた。 「もちろん! 最近発表されたSOLの皆さんもオッケー。ローカルルールを作って異種バトルなんかも考えてます」 ゲンドゥルの声に新入生たちからどよめきが上がった。 山崎恵子は、ふと、自分の神姫があらぬ方向を見て動きを止めていることに気づいた。 「巴?」 一拍の間を置いて、神姫が彼女に応えた。 「マスター、わたし、あの人たちに会ったことがあるような気がします」 と、先ほどまでゲンドゥルと対戦していた忍者型とそのマスターを指した。 マスターの男性は、標準体型で身長は170センチを越えるくらい。髪を短く切りそろえ茶色いコーデュロイのジャケットを羽織っていた。山崎はその姿を見た瞬間、自分と同じものを感じ取った。理由はさほどない。ただ、自分と一緒だ、と感じただけだ。 「シラヌイ」 彼は自分の神姫をそう呼んでいた。 フィンランド、ヘルシンキ空港。出発ロビー。 若い女性の声。日本語。 「そういえば、シラヌイさんたち、今頃同好会の新入生の勧誘をしてるはずですね」 その声に、ベンチに座った男が応える。名を相原竜之介、という。 「おや、椿もそういうことをしてみたいのかい」 隣の席に置かれた鞄の上に立つ侍型の神姫に向かって声を掛けた。サンダル履きに作務衣の上下を着た相原の姿とは対照的に、その椿と呼ばれた神姫はフォーマルな桜色のスーツを身に纏っていた。 「いえ、彼も当初と比較して、人付き合いが上手くなったと思います。これもマスターの働きかけあってのことです。以前なら、そのようなことに参加するなんて思えませんでしたが」 「買いかぶり過ぎ…、だよっと」 相原は手にしたPDAをタップしてメーラーをチェックする。 「何か新しい情報がありましたか、マスター」 相原は奇妙な笑いを浮かべた。困ったような、嬉しそうな、人を小馬鹿にしたような表情にも見える。それは、この男が時折見せる特有の表情である。 「どうやら、ね。例のノード群の情報の流れを掴むことができたようだよ」 東京、西東京市。とあるアパート。 「うーん、何か調子ヘンなのよ、最近」 作業デスクの上から、悪魔型神姫がマスターの男性、天野敬三に訴えている。 「ユリ、君はどうだい」 天野は悪魔型の傍らに立つ天使型に尋ねた。 「ケイと一緒よ」 「って、何がヘンなんだ。もうちょっと具体的に」 そう言うと、二体の神姫は互いに顔を見合わせた。どこまで言っていいのかな、とでも言う風に。 「ネット上にアタシたち神姫が情報交換する掲示板があることは知ってるわよね」 悪魔型ー、ケイが切り出した。 「ああ、うわさは聞いたことがある。でも誰も見つけられないでいる。それがどうしたんだ」 「どこかのサーバーにあるわけじゃないからなの」 天使型の、ユリが続ける。 「私たち神姫同士がピアとして、直接データをやり取りしてるの」 天野は一瞬ポカンとして、次にパンと手を打った。 「思い出したぞ。大学の情報処理の講義で出てきた。確か今世紀初頭のP2Pソフトのwinny2で実装されていた掲示板機能だな。………そうか、それなら確かにネット上でその存在を探知することはほとんど困難になるはずだ! いや、上手い手を考えたなぁ」 興奮してひとりで話し始めた。 「おーい、馬鹿オーナーっ」 ケイが、デスクの上で跳ねる。悪魔型特有の長いツインテールがぴょこぴょこと揺れる。 「あ、いや。済まん。ーで?」 「えーっと、ですねぇ。わたしたちたが『おかしい』と言っているのは、本来、クレイドルでバックアップ、デフラグとアップデートをしているだけのスリープ状態のはずなのに、P2Pをしたときのような感じが残っているってことなんです」 話の腰を折られながらもとりあえず説明をするユリ。 一瞬、考えを巡らせた天野が口を開いた。 「むむむ………さて、それじゃー、とりあえず、次の休みにでも神姫センターにでも行ってみようか。ちょっと俺じゃ手に負えないしね。それまではスリープのときにはネットとの接続を切っておこう」
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2169.html
ウサギのナミダ ACT 1-30 □ ティアと共に、歩き慣れたこの道を歩くのは、実は初めてだと気がついた。 はじめの時はティアの電源は切っていた。 その後の時には、ティアは一人アパートに残って自主練していた。 「まあ、それでお前が家出したのは、苦い思い出だが……」 「言わないでくださいっ」 ティアは俺の胸ポケットに顔を埋めて恐縮する。 俺は苦笑しながら、ゆっくりと歩いていく。 手には、いつものようにドーナッツの箱。 今日は海藤の家に向かっている。 ゲームセンターに出入りできなくなった俺は、いい機会だととらえることにして、お世話になったところに挨拶まわりに行くことにした。 海藤の家に来るのは、前回からそれほど経っていなかったが、随分前のような気がする。 その短い間に、あまりにも多くのことがあり過ぎたのだ。 だが、そのおかげで、こうしてティアと共に海藤を訪問できる。 嬉しいことだった。 「やあ、よく来たね。入って入って」 海藤はいつものように、俺たちを歓迎してくれた。 「いらっしゃいませ」 そう言うアクアの涼やかな声も変わらない。 俺が二人の様子に思わず笑みを浮かべると、二人とも満面の笑顔を返してくれた。 海藤はコーヒーを淹れながら、旬の話題を口にする。 「バトロンダイジェストは見たよ。随分白熱した戦いだったみたいじゃないか」 相変わらず、海藤はバトルロンドの情報収集に余念がない。 テーブルの上に、くだんの最新号が置いてある。 表紙を見るたび、面映ゆい気持ちになる。 「その表紙は勘弁してほしかったんだがな……」 「いいじゃないか。その表紙、結構インパクトあったみたいだよ。 ネットでも評判を調べたけど、かなりの反響だ。 記事の内容については……特に神姫との絆についての言及は、おおむね好評みたいだね。 思うところがあるオーナーはたくさんいるみたいで、神姫との絆について、あっちこっちで議論になってる」 「へえ……」 それは知らなかった。 俺は意図的に、雪華とのバトルについての情報を集めるのを避けていたから。 神姫と人間との関係について、改めて考える契機になるならば、それはそれでいいと思う。 「それで、だ。海藤……」 「ん?」 ドーナッツを頬張る海藤に、今日の本題を切りだした。 ■ 「久しぶりですね、ティア」 「はい……アクアさん」 アクアさんとこうして話をするのは、実は初めてだということに、今気がついた。 でも、そんな感じが全然しない。 それは、よくマスターからアクアさんのことを聞いているからだろうか。 それとも、アクアさんが醸し出す雰囲気から来るものなのか。 アクアさんはイーアネイラ・タイプの典型だった。 落ち着いた物腰、優しげな表情、大人びた美貌に、鈴の音のように美しい声。 でも、アクアさんはそれらがさらに洗練されているように思える。 「ずっと……アクアさんとお会いしたいと……お話したいと思っていました」 「あら、そうなのですか? どうして?」 「アクアさんが……マスターが初めて憧れた神姫だから……」 わたしは少しうつむいて、言った。 マスターは、海藤さんとアクアさんを見て、神姫マスターになりたいと思ったという。 海藤さんとの仲がいいだけではなく、アクアさん自身にも魅力があるということだと思う。 わたしは思っていた。 マスターの心を動かせるほどの、アクアさんの魅力ってなんだろう? 「わたしは……嫉妬しているのかも知れません。 こうしてマスターと心通わせることができても、どんな神姫になればいいのか、わからなくて。 アクアさんなら、マスターが憧れた神姫ですから、きっとそのままでもマスターは満足なのではないかと……」 アクアさんは、優しい微笑みを浮かべながら、わたしを見ている。 「そんなことはありませんよ」 「そう、でしょうか……」 「あなたがボディを変えられて目覚めたとき、わたしもそばにいました。覚えていますか?」 「は、はい……」 わたしは少し恥ずかしくなる。 あのときも、わたしは泣きじゃくって、アクアさんに優しくしてもらった。 わたしは優しくしてくれた人たちに、お礼を言うこともできずにいて、やっぱりダメな神姫だと思ってしまう。 「あのとき……遠野さんはとても嬉しそうでした。わたしが今まで見た遠野さんで一番」 「……」 「今日も、とても嬉しそうな顔をしています。 あんな表情をさせるのは、ティア、あなたです。 遠野さんが神姫マスターになるきっかけだったわたしではなく、あなたなんですよ」 アクアさんはにっこりと笑う。 アクアさんは優しい。 今日もわたしを優しく励ましてくれる。 不意に、アクアさんは目を閉じて、こう言った。 「わたしも、ティアがうらやましいです」 「え……?」 なぜ? 海藤さんと幸せに暮らしているアクアさんが……わたしのマスターがうらやむほどの神姫が、なぜわたしをうらやむというのだろう。 「あなたが武装神姫として戦い続けているから。 マスターが本当はバトルロンドを続けたいと思っているのを知りながら……わたしは何もできないでいます。 あなたは戦える。遠野さんが望むように。 それがうらやましいんです」 驚いた。 アクアさんみたいに優しい神姫が、戦うことを望んでいるなんて。 「でも、アクアさんの想いも、海藤さんの望みもかなうかも知れません」 「え?」 「わたしのマスターが、かなえてくれるかも」 少し驚いた顔のアクアさんに、わたしはそっと微笑んだ。 □ 「『アーンヴァル・クイーン』と戦ってみないか」 それが今日の俺の本題だった。 バトルロンドを捨てた海藤だが、バトルをしたくないわけではないはずだ。 それに、クイーンならば、どんな条件を海藤がつけても、バトルしてくれるだろう。 俺は海藤に、クイーンがなぜ俺たちを指名したのか、その理由を語った。 「クイーンは、特徴のある神姫と戦い、戦い方を吸収しようとしている。 だから、バトルの場所も設定も、こちらの要求が通るはずだ」 「……」 「バトルのことを公にすることには、彼らはこだわっていないみたいだし……条件付きで、クイーンとバトルしてみてはどうだ?」 俺は別に『アーンヴァル・クイーン』の肩を持っているわけではない。 海藤自身、彼らに思うところがあるようだったし、機会があれば協力してもいい、みたいなことを言っていた。 雪華のスタンスは、バトルを拒む海藤に、ぎりぎりの妥協点を見つけることができるかも知れない。 それに、海藤だって、バトルロンドに未練があるはずだ。 クイーンとバトルして、その思いが再燃すればいいと思う。 それでアクアの心配の種も、一つなくなるはずだ。 だから、思い切って切りだしてみたのだ。 海藤は、一つ溜息をついた。 「まあ、確かに、クイーンに協力したいとは言ったけどさ……」 俺は黙ってうなずいた。 「だけど、まともなバトルロンドじゃ勝負にならないだろうし……彼らが望んでいるのも、そこじゃないんだろうしね……」 「……海藤」 「なんだい?」 「そんなに、バトルロンドに戻るのが嫌か?」 「……僕は一度、裏切られたからね」 苦笑いする海藤。 だが俺は言葉を続けた。 「だけど、バトルロンドは素晴らしいと思ってるだろう?」 「……うん、そうだね」 「この間、お前の家に来たときに言われた言葉……今でも覚えてるよ。 『バトルだけが神姫の活躍の場じゃない』ってな。 その時は俺も、バトルロンドをあきらめようと思った。お前の言うことももっともだと思っていたさ。だけどな……」 海藤は不思議そうな顔をして、俺を見つめている。 俺は続ける。 「あるホビーショップで、武装神姫のバトルを観て……ああ、やっぱり、バトルロンドはいい、と思った。 自分の神姫とともにバトルする時間は、何物にも代え難いと思う。 俺はバトルを諦めたくなかった……だから、今こうして、ティアとバトルができる。 お前も……そろそろ諦めるのをやめて、いいんじゃないのか」 沈黙が流れた。 長い間黙っていたような気がするが、大して時間は経っていないようにも思える。 やがて、海藤はまた溜息をつく。 「まいるよね……そんなに熱く語るのは、君のキャラじゃないんじゃないの?」 「……最近宗旨替えしたのさ」 「まあ……あのゲーセンじゃなければ……ギャラリーがいなければ、やってもいいのかな……」 「海藤……」 やった。 海藤がとうとうバトルに戻ってくる。 冷静を装いながらも、俺の心の中は沸き立っていた。 「それじゃあ、クイーンに伝えてよ。 バトルは受ける。そのかわり、これから僕が言う条件を飲んで欲しい。それでいいならバトルを受ける……あ、その条件でも、雪華が望むものは観られる、と伝えておいて」 「わかった」 そして、海藤から提示されたバトルの条件を聞くにつれ……その奇妙な内容に、俺の方が首を傾げた。 □ 「……それで、クイーンとアクアのバトルはどうなったの?」 隣を歩く久住さんは、興味津々といった様子だ。 ホビーショップ・エルゴに向かう途中の商店街を、俺たちは歩いている。 俺は少し渋い顔をしながら答えた。 「うーん……圧勝といえば圧勝だったんだけどさ……」 「へえ、さすがクイーン」 「いや、アクアが」 「え?」 久住さんは、目をぱちくりとさせて、驚いている。 それはそうだろうな。 俺は胸ポケットのティアに尋ねる。 「なあ、あの時のアクアと雪華の対戦、三二対○でアクアが取ったんだったか?」 「あ、最後の一本は相打ちだったので、三二対一でアクアさんです」 「……なにそれ?」 ミスティもきょとんとしている。 まあ、それもそうだろう。 普通のバトルロンドでなかったことは確かである。 どんな対戦だったのかというと、それはそれは地味な戦いで、雪華は手も足も出ずにあしらわれたということなのだ。 信じられないかもしれないが、本当なのだから仕方がない。 この戦いについては、いずれ語ることがあるかも知れない。 俺がエルゴに行くのは、店長に改めてお礼に行くのと、約束通り客として買い物に行くのが目的だった。 日暮店長は相変わらず熱い人で、俺が改めて礼を言うと、照れながらも喜んでくれた。 そして、先日の神姫風俗一斉取り締まりについて、少しだけ教えてくれた。 店長が、俺の渡した証拠を持って、警察にあたりをつけたとき、すでに警察内部でも、神姫虐待の疑いで神姫風俗を取り締まろうという動きがあった。 その発端となったのは、例のゴシップ誌に載ったティアの記事だったという。 あの記事は予想外の反響があったらしい。 そのため、警察も見過ごすことができなくなっていたのだ。 ただ、神姫風俗の取り締まりを、どの規模で行うかは決まっていなかった。 今回の一斉捜査にまで規模を広げるように尽力してくれたのは、かの地走刑事だったそうだ。 なるほど、警察の動きが妙に早かったのは、下地があったからなのか。 しかし、日暮店長が何をしてくれたのかは、何度訊いてもはぐらかされて、分からずじまいだった。 もう一つの用事である買い物は、もちろんティアのレッグパーツの改良用部品である。 エルゴには十分な部品が揃っているし、日暮店長も装備の改造や工作にやたら詳しい。 俺は自分で書いた図面を持ち込み、日暮店長と相談しながら部品を揃えていく。 在庫がないパーツは、カタログを見ながら店長のおすすめを聞き、それを注文した。 届いたときには、またエルゴに足を運ばなくてはならない。 時間もかかるし、電車賃もばかにならないが、店長へのせめてものお礼ではあるし、俺自身がこの店に来るのが楽しみで仕方がない。 久住さんも一緒に来てくれるのだから、そのぐらいの負担は大目に見ようという気になろうというものだ。 □ その久住さんには、彼女がホームグランドとしているゲームセンター『ポーラスター』に案内してもらった。 あの事件以来、俺とティアはバトルができる状況じゃなかった。 対戦のカンを取り戻すのと同時に、新しいレッグパーツ、新しい戦術も試さなくてはならない。 そのためには、日々の対戦環境がどうしても必要だった。 自宅でのシミュレーションでは、どうしても限界がある。 『ポーラスター』は、俺たちのいきつけのゲーセンよりも大きく、バトルロンドのコーナーも倍くらいの広さがあった。 それでもすべての対戦台が埋まっているほど盛り上がっているし、神姫プレイヤーも多い。 久住さんがバトロンのコーナーに入って軽く挨拶しただけで、歓声に迎えられた。 大人気だった。 あとでこの店の常連さんに聞けば、彼女はずっとこの店の常連だという。 『エトランゼ』として、他の店を飛び回っていることが多いので、この店に戻ってくると、常連プレイヤーたちの歓迎を受けるらしい。 久住さんの紹介で、俺はこの店でバトルする機会を得た。 ティアの新しいレッグパーツを試し、調整し、また戦う。 新しい技や戦術も実戦の中で試すことができた。 時にはミスティに協力してもらい、練習したりもした。 ありがたい。 おかげで、ティアは新しいレッグパーツをあっという間に使いこなせるようになり、新戦術を使いながら、バトルロンドを楽しむことができた。 『ポーラスター』は、客の雰囲気がいい店だった。 俺がティアのマスターだとばれたときには、ちょっとした騒ぎになったが、誰もが紳士的な態度でほっとした。 神姫マスター同士も和気藹々としていて、まずバトルを楽しもうという気持ちが感じられる。 初級者でも、上級者にバトルについていろいろ尋ねることをためらわないし、聞かれた方も丁寧に答えている。 このゲーセンの実力者は、久住さんを含めて五人いるそうだが、五人ともこのようなスタンスを貫いているという。 故に、中堅の神姫プレイヤーも初級者も、ついてくる。 そんな環境だと、上級者のレベルが頭打ちになりがちだが、エトランゼに影響されて、他のゲーセンに遠征する常連さんも多いという。 その結果、総じて対戦のレベルが高くなっている。 理想的な環境だと思う。 俺が通うゲーセンもこうだといいのだが。 □ そんな風に過ごして、一ヶ月が経った頃。 土曜日の夕方の『ポーラスター』。 久住さんと一緒にバトルロンドのギャラリーをしていた俺に、電話がかかってきた。 通話ボタンを押すと、 『わーーーーーっはっはっは!! みたか遠野、ざまあみろ!!』 大声の主は、大城だった。 隣の久住さんにも丸聞こえで、思わず吹き出している。 「……いったいなんなんだ、大城」 『ついにやったぞ! ランバトで、三強を倒して、ランキング一位だ!』 「おお……それはおめでとう」 そうか。 ついに大城と虎実は、あのゲーセンで一位になったのか。 それは、俺が待っていた連絡だった。 『どうだっ! 俺たちだってやればできるんだぜ、わっはっは!』 『つか、話が進まねぇだろ! かわれ、バカアニキ!!』 電話の向こうで、大城の神姫が叫んでいる。 しばらくして、虎実の静かな声が聞こえてきた。 『……トオノか?』 「そうだ」 『アタシ、ランバトでトップになった』 「聞いたよ」 『……約束、覚えてんだろーな』 「忘れるはずがない。俺たちをバトルロンドに引き留めてくれたのは、お前との約束だよ、虎実」 『ばっ……んなの、どーでもっ……そ、それよりも、ティアと! ティアと戦わせてくれるんだろ!?』 虎実の声がうわずっている。 照れているのが手に取るように分かる。 俺は思わず苦笑した。久住さんの肩で、ミスティが吹き出している。 「もちろん。お前がそう言ってくれるのを待っていた」 『なら……約束を守ってくれ』 「わかった」 明日、いつものゲーセンで。 ついにティアと虎実のバトルだ。 俺は携帯電話の通話を切ると、いつものように胸元にいるティアに声をかける。 「ティア……約束を果たそう」 「はい、マスター」 そう言うティアは嬉しそうに微笑んでいた。 次へ> トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1936.html
鋼の心 ~Eisen Herz~ 登場神姫の武装紹介 ~その他編~ 焔星(エンシー) 【壱式=炎(ホノオ)】 焔星の基本形態。 強力無比な【プロトン砲】を主兵装に、【レーザーブレード】や【シールドファング】、【オートガン】等で武装している。 基本的には回避主体の軽量級神姫だが、プロトン砲の火力は凄まじく攻撃力は極めて高い。 二機の【ぷちマスィーンズ】である【光阴(コウイン)】、【闇阳(アンヤン)】との連携を駆使する事で、ステータス以上の戦闘力をも発揮できる。 ただし、【光阴】、【闇阳】は、高い性能の代償として稼働時間が短い為、こまめな補給を行う必要があるが、その際の補給は、本体との接触により電力の譲渡と言う形で行われる。 その電力を生み出す為の大型ジェネレータをバックユニットに内蔵している上、プロトン砲とシールドの重みも加わり、機動性を維持する為に装甲の大部分をオミットする必要があった。 大型ジェネレータは、【ぷち】への補給以外にもプロトン砲のエネルギー源としても利用される。 【式神弐式=光阴(コウイン)】 浮遊移動を駆使する近接防御型の自律兵器。 上半身のみという特異な形態ながら、非常に高い装甲防御力と切断力の高い大鎌【デスサイズ】を有し、近接格闘戦で相手を追い詰める。 作中では使用していないが、飛び道具として双発式の【小型イオン砲】を装備している。 腕と頭部を本体内部に収納する事で球状の防御形態へ変形し、更に守備力を向上させることも可能。 高性能かつ多彩な装備を有するものの、そのエネルギー源は小型のバッテリー一つでまかなわれている為、こまめな補給が欠かせない。 【式神参式=闇阳(アンヤン)】 四足による安定性を活かした精密砲撃を駆使する砲撃支援型の自律兵器。 ある程度の連射力と威力を両立させた速射砲二門を主兵装とし、後方から焔星本体や【光阴(コウイン)】を援護する。 更に、変形する事で高速飛行も可能であり、砲撃の最適ポイントへと素早く移動することが可能。 また、飛行モード時に焔星本体を上に載せ、ボードアタックを敢行する事も出来、用途は多岐にわたる。 エネルギーの消耗が【光阴】ほど激しくないので頻度は多少落ちるものの、補給が必要なのはこちらも同じ。 【真鬼王=零】 焔星の高速戦闘形態。 従来型の【真鬼王】とは真逆に、速度と機動性を向上させる事を目的とした形態であり、焔星本体が、【光阴(コウイン)】、【闇阳(アンヤン)】と合体する事で形成される。 両ぷちとの合体により、それぞれのコンデンサを活用することが出来るようになるため、主兵装の【プロトン砲】もリロード時間が短縮され、発射間隔が短くなる。 また、【デスサイズ】、【レーザーブレード】、【オートガン】等も使用可能で、攻撃面に隙は無い。 巨大な割に装甲防御は然程高くも無いが、強化される機動性で攻撃を回避する事が出来る為、生存性は高い。 なお、【零】の高速戦闘能力は、機体に直結される二機の【ぷち】が焔星本体のAIとCSCを補助することで実現している。 【プロトン砲】 非常に高い威力を持つエネルギー砲。 榴弾砲と同様に、着弾地点で爆発を起こす性質があり、回避するのが困難な武器。 その威力、攻撃特性の代償として重量とリロード時間と言う枷を持つ。 【零】形態では【ぷち】用のバッテリーを流用する事で、リロード時間の大幅な向上を得ている。 【シールドファング】 【炎】形態時に盾となる部分を展開し、大顎として敵に食いつかせる武器。 奇襲性が高く、飛行タイプなどの脆弱な装甲ならば食い破る威力も持つが、重装甲タイプの神姫には歯が立たない。 本来は噛み付く事で動きを止め、【ぷち】でトドメを指す為の補助的な武器。 【デスサイズ】 単分子カッターを内蔵した長柄武器。 作中では使用していないが、大鎌、薙刀、長斧の三形態を使い分けられる。 切断力は凄まじいものの、少々重く扱いづらい面もある。 実は市販されている典雅の製品の一つ。 【レーザーブレード】 アーンヴァルのレーザーブレードを出力強化したもの。 威力はノーマルタイプに比べて向上しているが、稼働時間で劣り、充電に必要な時間も長い。 もちろん、威力が高いといってもカトレアはおろか、フランカーのものよりも出力は劣る。 ただし、通常の神姫相手に格闘武器として用いるならば、充分に強力な性能。 【オートガン】 【炎】、【零】、どちらでも使用できる小型火器。 通常のハンドガンとして手に持って使用する事も可能だが、脚部にマウントしたまま自動的に稼動し、発砲する事もできる。 威力は無改造のハンドガンと同じでしかないが、自衛火器としては有用であり、近接防御に一役買っている。 歌憐(カレン) #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (karen001.jpg) 【重装潜水装備(メキアリル)】 目立たないものの、実はかなりの実力者である藤堂晴香の神姫。イーアネイラ型。 重装潜水装備となる【メキアリル】ではサポートマシンである【アイオール】をそのままバックユニットとして装備し、水中での機動力と攻撃力を強化している。 カレン最大の特徴は、主兵装である【オルフェウス】がギタータイプに改造されている事で、音響兵器としての性能向上に加え、そのまま近接武器としても使用可能。 特別に【エレメンタルソング】と銘を与えられているこの【オルフェウス】は、弦を爪弾く事でエッジ部分が共振を起こし、刺突のダメージを格段に向上させられる。 近接戦では、相手に突き刺したまま『演奏』する事で相手の内部(電子機器)に直接攻撃できる。 要するに轟鬼の『雷電激震』 背面ユニットで目立つ二器のサーペントは、【エレメンタルソング】に砲身を共振させる事でその効果を増幅するアンプの役目も持つ。 もちろん直接メーザー砲としても使用可能で、各種魚雷やニードルガンなどと合わせ、カレンの絶大な水中戦闘能力を支えている。 水中戦に限れば作中最強で、フブキにすら抗し得る神姫。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (karen002.jpg) 【軽装陸戦装備(メルリンク)】&【自立型随伴砲台(アイオール)】 9話で使用した軽装の陸戦装備。 本来肩装備のニードルガンを合体させ、ツインランサーにしているが武器はこれと【オルフェウス】だけ。 余談だが【エレメンタルソング】が開発されたのは大会直前なので、9話の時点では武器は普通の【オルフェウス】だった。 サポートメカである【アイオール】は、水中行動しか出来ないという制約はあるものの、水中戦では単独でも陸戦型の神姫を倒しうるほどに強力。 高い移動速度と圧倒的な火力を武器に、水中戦を制するだけでなく、VLS(垂直発射ミサイル)で陸上への支援攻撃も行える。 カレンの18番である【霧】も【アイオール】本体、及び発射されるミサイルから散布する。 天使型MMSブラック・アーンヴァル 試作開発段階のプロトタイプアーンヴァルをコピーした擬似神姫=マリオネット。 正確には神姫でもMMSでもないロボット。 旧海底資源掘削プラントで行われた戦闘(バトル)においてフブキ側の手勢として数千機が投入された。 CSCを搭載しておらず、本体内蔵のAIが司令塔からの大まかな指示で行動する方式。 もちろん性能は通常の神姫は及ばず、数で攻める物量戦でその真価を発揮する。 件の旧プラント攻防戦においては数種類のブラックタイプが確認されており、それぞれに用途が異なる。 神姫と違い柔軟な判断が出来ない為に最初から役割を分担していた物と推測されるが詳細は不明。 【TYPE/α】(写真上段) LC3レーザーキャノンで武装した空戦砲撃戦タイプ。 小回りは利かないものの、最大速度は最も早く装甲も(比較的)頑丈であった。 反応速度等に難のある擬似神姫だが、武装の威力は通常の神姫と変わらず、特にこの【TYPE/α】は突入側の最大の脅威となっていた。 頭髪はロングであり、レーザーの発熱を放出するヒートシンクの役割を果たしていた。 【TYPE/β】(写真中段) 空中格闘戦(ドッグファイト)に特化した戦闘タイプ。 上記の【TYPE/α】とは比較にならない旋回性能を持ち、射程こそ劣る物の時間当たりの総火力でも勝っていた。 手持ち武装のレールガンは後に市販される物とは違い、本体から電力を供給されている為、手首のジョイントに固定する必要があり運用には多少の難が見られる。 格闘専用のレーザーソードと防御用のシールドを一つづつ持った最もバランスの良いタイプでもある。 頭髪はポニーテールで、利便性と緊急時の放熱性能を秤に架けた結果だと思われるが、マリオネットにその様な判断が出来たのかは不明。 【TYPE/γ】(写真下段) 屋内白兵戦に対応した陸上歩兵タイプ。 装備は最も安価で、施設内に大量に配備されていた機種。 しかし、過半数を占めていた主力部隊は、たった一機の神姫に一瞬で撃破されており運用には問題点が残っていた物と推測される。 火器はアルヴォ系のSMGであり対神姫戦には十分な威力だが、特筆するべきような機構は見受けられない。 屋内での密集戦を想定してか頭髪は短く、過熱の多い武装の使用が出来なかった物と推測される。 尚、この戦いの後回収されたこれらのブラックタイプを参考にFrontLine社が開発した物が、トランシェタイプのアーンヴァルであるとも言われているが、同社から公式の発表は無い為に詳細は不明。 サソリ型MMSアルアクラン 神姫事業の先駆けであるグループK2が開発した試作神姫。 一体の神姫に極限の装甲と火力、それを支えるパワーを持たせたテストベッド機。 商品化する際の価格がストラーフやアーンヴァルに対し3倍ほどに上る為、試作段階で企画が終了している。 後にUnion Steel社が神姫事業に参戦する際、開発資料として譲渡されており同社のティグリース、ウィトゥルースの雛形ともなった。 主な武装は 【荷電粒子ビーム砲】×1 【2連装速射機関砲】×1 【電熱シザーアーム】×2 特筆するべき性能としては斥力場浮遊による滑走能力が上げられるが、これは単体では完成しておらず、バトルフィールドに予め電磁レールとして使用できる磁場発生装置が必要となる。 鋼の心本編の最終決戦場となる、旧資源掘削プラントには重要設備付近にある大部屋にこの電磁レールが予め敷設してあり、一体ずつのアルアクランが配備されている。 また、その電磁レールを利用し、主砲である【荷電粒子ビーム砲】を発射後に湾曲させる能力もあるが、滑走機能同様にレールの敷設された室内以外では使用できない。 余談だが、基本的に試作タイプの情報は他社に公開されない為、後にMagic Market社がサソリ型MMS(グラフィオス)を作成したのは単なる偶然である……。 清姫(キヨヒメ) 数多の重火器で武装し、強固な電磁装甲で身を守る巨大な神姫。 乱戦においては最強とも言われており、天海におけるランクは2。 火力の高さは言うまでも無いが、格闘能力、機動力も決して低くは無い。 非常に有名な神姫ではあるが、その実態は謎に包まれており、オーナーの正体すら定かでは無い。 一部では、イリーガルであるとも噂される。 幾度かバージョンアップを受けているが、現在(大会時)の搭載火器は以下の通り。 【3.5mm滑空砲】 主砲となる、インターメラル製の超大型滑空砲。 火力は凄まじく、直撃を受ければ如何なる神姫とてひとたまりも無いと言う、文字通りに必殺の火器。 重量がある為に取り回しが難しく、近距離では照準をつけるのは困難だが、破壊力はそれを補って尚余りある。 【1.2mm滑空砲】 副砲は【FB256 1.2mm滑空砲】と同様のもの。 腕部に内蔵されており、非常に広い射角と操作性を持つ。 威力では【3.5mm滑空砲】に劣るものの、近接戦でも使用可能である為に使用頻度は高い。 【1.0mm狙撃砲】 超長距離での主力となるロングバレルキャノン。 他の砲と同じく行進間射撃も可能だが、静止状態における精度が極めて高く、大口径の狙撃銃としても機能する。 ある程度の連射も可能で強力な弾幕を展開し、対空射撃を行う事も可能。 【0.8mm速射砲】 連射性に特化した小口径滑空砲。 清姫の弾幕の真髄とも言える火器であり、これと【ガトリングガン】の併用は極めて強力。 弾種は近接/時限信管の【榴弾】であり、対空高射砲としても機能する。 【ガトリングガン】 小口径の銃弾を極めて速い速度で連射する機関砲。 清姫の火器としては比較的小型だが、通常の神姫であれば主兵装であっても過剰とも言える程の火力である。 【6連短距離ミサイル】 左右連動で、合計6発の誘導ミサイルを発射するミサイルポッド。 短距離と銘打たれているが、通常の神姫の射程距離よりも遠くまで攻撃可能。 誘導性が極めて高く、飛行型、高機動型の神姫にとっては致命打となる。 【2連長距離ミサイル】 理論上フィールドの端から端まで届く長射程の巡航ミサイル。 威力は【3.5mm滑空砲】にも匹敵する程であり、極めて強力。 装弾数が少なめなのが弱点。 【レールガン】 電磁加速された小口径高速弾を発射する武器。 装甲貫通性が極めて高く、ジュビジーの【キュベレーアフェクション】ですら貫通する。 破壊力そのものは【榴弾】に比してやや劣る。 【スプレッドランチャー】 散弾のように拡散する【榴弾】を発射するランチャー。 比較的射程距離は短いものの、面制圧火器であり、広範囲を一瞬でなぎ払う。 更に連射も可能であり、主砲とは別の意味で凶悪な武装。 【小型機銃】 至近距離や小型目標への射撃に使用するバルカン砲。 補助的な兵装であり、威力も普通の神姫の副砲並で極立った特長は無い。 【Sマイン】 爆発し、周囲に散弾をばら撒く近距離用特殊兵装。 無差別攻撃であるため、清姫自身も攻撃を受けるが、散弾の威力は清姫の装甲で弾く事が可能である為、敵だけが被害を蒙る。 これを防ぐような重装甲の敵はそもそも至近距離まで近寄れない為、低い威力に問題は無い。 リーヴェレータ(リーヴェ) 飛行型かつ、重量級という極めて特異な神姫。 飛行速度は極めて遅く、他の飛行型はもちろん、平地であればトライクやティグリース、果てはハウリンにすら移動力で劣る事もある。 ただし、装甲はストラーフをも凌ぎ、攻撃力は極めて凶悪。 また、移動力の低さも地形の利用(悪路へ追い込む)や高度を下げながら飛行する事で加速を行い、補うことが可能。 空対空戦には向いていないが、バトルロイヤルの特性上飛行タイプは遭遇率が低く、リーヴェの装甲を貫けるだけの重火器を有さない事が殆どなので、結果として生存性は極めて高い。 主な兵装は機体下部の大型連装機銃と各種爆弾。 爆弾は【無誘導爆弾】【レーザー誘導爆弾】【燃料気化爆弾】【クラスター爆弾】【テルミットナパーム弾】等を多数有しており、彼女の真下は如何なる神姫もその生存を許されない地獄と化す。 実は重過ぎる重量をフロートで浮かして、ターボプロップで移動するという飛行船のような移動法である。 普段はお淑やかだが、バトル中は性格が豹変する。 それはもう、別人レベルで……。 何か溜まっているのかも知れない。 アーシュラ 【アトラクアナクア】 パワー最優先のチューンナップを施されたストラーフ。 天海市の神姫センターでも上位に位置する神姫の一人で、ランクは6。 最大の特徴は6本装備の【チーグル】であり、近接格闘で右に出る者はいない。 ただし、反応速度を向上させる為、思考能力を極限までカットしてしまう為、戦況判断が不得手。 過去に、「蜘蛛らしく糸を吐く能力」を付与された事があったが、自分で張った蜘蛛の巣を敵と認識し、即座に殴りかかった事がある程におバカ。 当然、正式採用は見送られた。 トリオ・ザ・サーべラス(Cerberus) 三機一組で活動するサーべラスの構成機体。基本的に三機とも装備は同一。 概要としては、ハウリンの標準装備をベースに、カスタムアップされた強化型ハウリン。 主兵装は【吠莱壱式】と【ヒートサーベル】(レーザーブレードではない)。 補助兵装として【拡散ビーム砲】(頭頂部の“耳”部分)を装備している。 ただし、【拡散ビーム砲】は出力不足で目くらまし程度の効果しかない。 機動面では、極小タイプのフローターユニットを内蔵しており、地面の上を滑走移動する事が可能で、通常のハウリンの比ではない高速移動を可能としている。 更に、装甲も充分に頑丈で、ハウリンタイプの特徴である頑強さと相まって高い耐久性を持つ。 しかし、これ程の高性能でありながら何故か戦果が振るわず、天海最弱の3機という不名誉な知名度を持ってしまっている。 三機の連携による、非常に強力な必殺技を持っているらしいが、未だ公開された事はない。 因みにオーナーは黒井三兄弟。 高校3年生の三つ子であるらしい。(黒い三年生!!) また、構成する三人のハウリンは戦闘中の呼称をα、β、γと言う記号で呼称するが、本名は別にあるとか。 鋼の心 ~Eisen Herz~へ戻る -
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/638.html
花は咲き乱れて ※注意!18禁です! 登場人物 パンジーのマスター 友人に勧められ、神姫を初めて購入した男 うっかりさん パンジー 花型MMSタイプジルダリアの神姫 大人しい性格 書いた人:優柔不断な人(仮) ちらっ…ちらっ… 「どうしたのです、マスター?」 昨日ウチに来たばかりのパンジーが俺に言った 「いや…なんでもない…」 友達に勧められて初めて買った武装神姫 パッケ絵に惹かれて中身を良く見ずに買ってしまったのだが、まさか中身があんなにえっちなカッコだったとは… 「心拍数及び呼吸数が異常に上昇してるようですが、どこかお体の具合でも悪いのですか? 「いや、大丈夫だ…」 武装させればマシになるのだろうが、武装させる為には直視しなければならない マスター設定をするまでは耐えられたのだが、動き出したらもう恥ずかしくて恥ずかしくて… 「もしかして、私に何か到らぬ点でも?」 「そんなことはないよ」 「でも私が起動してから、ちっとも私の方を見て話して下さらないのですね…」 う…俺が悪いのに…罪悪感が… 「…クスン、申し訳ありません。私が到らないばかりにマスターに不愉快な思いをさせてしまって…」 「そんな事ないぞ!キミがとっても魅力的すぎるから、俺の気持ちが昂ぶるだけだ!昂ぶりすぎるから怖いだけだ!」 ようやく彼女を見ながら、思いをぶつける 「…ホントですか?」 「ああ、本当だ。キミは俺になんか勿体ないくらい眩しすぎるのさ」 「そういうことでしたら相談していただければ良かったのに。私、良い対処法を知っております」 「何?ホントか?」 「はい。古くから伝わる気持ちの昂ぶりを押さえる方法です」 俺の前に来る彼女、そしてちょこんと座り、足を上げ顔を真っ赤にしながら言った 「私の足を持ってゆっくりと『開いたり、閉じたり』してください…」 彼女の言うとおりにしてみる俺 「開いたり…閉じたり…開いたり…閉じたり…」 彼女の透き通るような白い肌、それが微妙に赤みを帯びている… その肌を隠すのはわずかばかりの白い布… 「なんか余計に昂ぶってくるような…」 「ヘンですね…昔から伝えられている方法なのに…?」 彼女のカラダを弄ぶように開いたり閉じたりする俺… …やば…理性が…ぷち… 「パンジー!」 俺はとうとう欲求に負け、彼女の胸へと指を伸ばした 「あっ…」 弱々しく抵抗する彼女。しかし神姫と人間の力の差は歴然だ むにゅ… 「柔らかい…」 「マスター…ダメです…」 彼女の抗議を無視し、胸をいじり続ける くいっ ブラを上にずらす。彼女の胸が丸見えになる 勿論その先端のピンクの突起まで 「あっ…恥ずかしい…」 彼女のささやかな抵抗が、俺の淫らな欲望を増大させる 「キミが悪いんだ…」 「え…?」 俺の言葉に目を丸くする彼女。体が硬直し、抵抗も収まる そんな彼女の体に顔を近づけ ぺろっ お腹から胸、顔まで舐める 「はうっ…私が…いけないんですか…」 「そうだ、キミがいけないんだ…」 もう一度舐める 胸の先端を刺激する 「はうっ…私の、どこがいけないんですか…」 ぺろっ 答えずに舐め続ける 「私が…悪いんですか…申し訳…ありません…」 ぺろっ 不意にしょっぱい味がして驚く俺 ふと見ると彼女は… 「申し訳ありません…マスター…私が…到らないばかりに…」 その小さな体を震わせて、泣いていた …俺は何をやっている? 今俺はなにをしている? 彼女の何が悪いんだ? 悪いのは俺だ 自らの欲望に負けた俺だ 「…マスター、泣いておられるのですか?」 俺は泣いていた 自分の愚かさに 自分の勝手さに 彼女を傷つけた事に… 「…ごめん」 胸から手を離し、箪笥へと向かう 「…あの」 引き出しを開け、ハンカチを取り出す 「ごめん、最初からこうすれば良かったんだ」 彼女にハンカチを掛ける 「…あ」 ハンカチで体を隠す彼女 「ごめん、キミは悪くない。悪いのは俺だ。恥ずかしがりながらも、キミの肌をみたかった俺の…」 「マスター…」 「俺はマスター失格だ。キミを守らなきゃいけないのに、キミを傷つけた。キミを汚そうとした。自分の性欲を満足させるためだけに!」 「そんなことないです…」 「…え?」 「マスターにそんな感情を起こさせた私が悪いんです…」 そういって立ち上がる彼女 「だから…」 顔を真っ赤にし 「私で鎮めてください…」 ハンカチを下に落とし、全てをさらけ出して 「私を…汚してください…」 彼女が言った 「…わかった」 彼女を優しく持ち、テーブルの上へと乗せ、仰向けに寝そべらせる そして、彼女に残った最後の砦…パンティを脱がす 「…あ」 彼女の秘部からはキラキラと光る物が… 「濡れて…いる…」 「恥ずかしい…」 「もっと濡らしてあげるよ」 そう言って秘部に舌を這わせる 「はうぅ…」 熱い吐息を漏らす彼女 そんな彼女の秘部を執拗に攻める俺 だんだん彼女の息づかいが荒くなってくる 「あっあっ…はぅ…あん…あうう…あっ…ああっ!…もう…ダメッ!」 そんな彼女の秘部に最後の一撃を与える 「ああ~~~~~っ!」 背中をピンと反らせ、達する彼女 「ふぅ、ふぅ、ふぅ、はぁ、はぁ…はぁ…」 そんな彼女の頭を、優しく撫でる 「…申し訳ありません…マスターを鎮めなければ…いけないのに…私だけ…」 「…じゃあ、休憩したらこっちも…」 「あ…大丈夫です…」 彼女の返事を聞き、立ち上がりスボンをおろす 「…あ…これがマスターの…おしべ…すごい…」 この表現を聞いて、ああ、やっぱりこの子は花型なんだなと思ってしまった 膝を付き、テーブルの上にいる彼女に男根を近づける 「それじゃ、頼むよ」 「…はい」 そういって男根に手を伸ばす彼女 「…うっ」 触れた途端に快楽が… 「あっ…大丈夫ですか?」 「大丈夫、気持ちよかっただけだから。だから続けて」 「はい…」 そう言って男根を撫で始める彼女 「うう…きもちいい…もうちょっと…強く…早くして…」 しゅっ…しゅっ… 彼女の擦る力が強くなり、速度も上がる しゅっしゅっしゅっしゅっ 「ああっ…先端も舐めて…」 ぺろっ…ぺろっ… 舌による刺激も加わる 先走りの液体と、彼女の唾液とで男根はすっかりビショ濡れになった ぬちゅっぬちゅっ… 濡れた卑猥な音が響く もっと刺激が欲しい… 「ちょっとストップ」 「…はい」 彼女を止める俺 「もう一回寝そべって」 いわれるままに寝そべる彼女 その上に男根を乗せる 「足で締め付けて」 「あ…恥ずかしい…」 そういいつつ足を絡め、締め付けてくれる彼女 「じゃあ、動くから。体をしっかりと固定してね」 テーブルに手を置き、動きに備える彼女 それを確認し、ゆっくりと腰を降り始める ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ… 足で締められた男根は、彼女の秘部とお腹へと擦りつけられる 「おっ…おおっ…すごいくもちいい…」 「んっ…はんっ…私も…ですっ…あん…」 腰を振るスピードを上げる俺 「おっ…おおっ!…もう…そろそろ…」 「はうっ…私もっ!…また…あううっ!…」 「はぁっ!…くっ…くぅっ!でるっ!でるぅっ!」 びゅくっ! 「はうっ!…はあああああっ!」 ビクン! 同時に達し、嬌声を上げる彼女の体へと精液をぶちまける俺 びゅくっ!びゅくっ!びゅくっ! 「うううっ…ううっ…はううっ…」 「ああん、マスター…スゴかったです…」 彼女の体は、俺の放った精液で全身ズブ濡れになった… 「そうしてあなたが生まれたのよ、菜種」 パンジーは目の前にいる種型MMSタイプジュビジー…菜種に向かって話しかける 「ふーん。パパとママって、出会ったときからラブラブだったんだ」 「おいおいパンジー、嘘を教えるなよ」 「えー、嘘なの?」 「一部だけよ」 「どこが嘘なの?」 「それはね───」 終わる あとがき エロ妄想スレに投下したネタを大幅加筆修正してみました ジルダリアの足って、めしべなんだそうで そこにかけたら… とここまで書いて、武装させてなかった事に気付く俺うっかりさん
https://w.atwiki.jp/battleconductor/pages/30.html
カード右下のアイコンについて 攻撃力(ATK) 防御力(DEF) スピード(SPD) 体力(LP) ブースト(BST) 個体値加算表 神姫固有武器補正 個体値の排出率 アップデート履歴 コメント カード右下のアイコンについて 個体値と呼ばれる。 いわゆるプラスアビリティ。 常時発動でマイナス補正は無い。 神姫やレア度は関係なく、アイコンの分だけ加算される模様。 ◆ or ◆◆ or ◆◆◆◆◆ 現在1個、2個、5個のパターンが確認されている。 5個パターンには武装Cost+10されているもの(通称6V、キャパオバ)が存在する。ステータスに差はない。 0個、その他のパターン、同アイコン複数パターンはない。 基本的にどのパターンも合計で+100の値がステータスに加算されるよう割り振られる。 正確ではないが単純な例として、 1V=100 2V=50 50 5V=20 20 20 20 20 つまり必ずしも5Vが強い訳では無いということ。 詳しい値はページ下部へ。 1Vにおいて以下は確認されていない。 黄色の足(スピード) 2Vにおいて以下の組み合わせは確認されていない。 黄色の足(スピード) + その他アイコン 赤色の剣(攻撃力) + 灰色のLP(体力) 緑色の盾(防御力) + 水色の円(ブースト) ※ただし期間限定で印刷出来た謹賀新年「ストラーフ」のみ黄色の足(スピード) +水色の円(ブースト)かつコスト+10の変則仕様、無論通常の神姫購入では存在しないパターンである。 【本当は武装Cost+10カードなのに裏面の印刷に反映されていないカードが存在する】 例:ゲーム内では武装Cost80表記なのにカード裏面では武装Cost70表記。 稼働初期、武装Cost+10(6V)神姫なのにカード裏面の印刷に反映されない不具合があったが、 これは2021年1月7日のアップデートで修正された。 プレイヤー達は「仕様」なのだと思っていたが修正で「不具合」だと理解。 1/6以前に印刷した手持ち神姫やフリマサイトの5Vが「本当は6Vなのかも知れない」と留意しておこう。 攻撃力(ATK) 一番左、赤色の剣のアイコン ゲーム内での正式な呼称は「攻撃力」 ATKのみ ATK+α 5つ全て +100 +50 +25 防御力(DEF) 左から二番目、緑色の盾のアイコン ゲーム内での正式な呼称は「防御力」 DEFのみ DEF+α 5つ全て +250 +125 +50 スピード(SPD) 左から三番目、黄色の足のアイコン ゲーム内での正式な呼称は「スピード」 現在5つ全てのアイコンが揃う場合にのみ出現。単体、これと他セットでの出現は確認されていない。 例外で期間限定で印刷出来た謹賀新年「ストラーフ」はBSTとの組み合わせである。 SPDのみ SPD+α 5つ全て なし +30 +25 体力(LP) 左から四番目、灰色のLPのアイコン ゲーム内での正式な呼称は「体力」 LPのみ LP+α 5つ全て +500 +250 +125 ブースト(BST) 左から五番目、水色の円のアイコン ゲーム内での正式な呼称は「ブースト」 BSTのみ BST+α 5つ全て +500 +250 +125 個体値加算表 ATK値は神姫/レアリティによって補正がかかっているため、表の通りではない。 ATK DEF SPD LP BST ATK (100) 0 0 0 0 DEF 0 250 0 0 0 LP 0 0 0 500 0 BST 0 0 0 0 500 ATK/DEF (50) 125 0 0 0 ATK/BST (50) 0 0 0 250 DEF/LP 0 125 0 250 0 LP/BST 0 0 0 250 250 SPD/BST 0 0 ? 0 250 ALL (25) 50 25 125 125 神姫固有武器補正 得意武器を装備するとATK値にプラス補正が、苦手武器を装備すればATK値にマイナス補正がかかる。 マスクデータだが、実際に装備した時のATKの上がり方や、神姫ハウスでの台詞、2021.1.28発売のカードゲーマーでおおよその判断ができる。 当wikiでは各神姫に個別で掲載。 個体値の排出率 この数値でほぼほぼ間違いなさそうである。 個体値 排出率1V 48%(12% 12% 12% 12%)2V 48%(12% 12% 12% 12%)5V 3%6V 1% 出典:5ちゃんねるバトコンスレ「武装神姫 バトルコンダクター part11」 479 アップデート履歴 日時:2021.5.26 内容:ATK以外の個体値の上方調整。当wikiは最新のもの。過去のデータは公式お知らせ参照。 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/491.html
武装神姫のリン 第14話「無名」 「距離200.100.50....来る!!」 大きな砂煙を上げて敵の大型機動兵器が姿を現す、巻き上げられた砂煙によって完全な姿は分からないがシルエットで"ソレ"が球体であることが認識できた。 しかし… 「なに、この臭い!!」 「うっ…この臭気は……」 「鼻が、歪む」 「おねえさま コレは!」 「頭がくらくらする…」 「こういう兵器…なの??」 いままでに感じたことのないほど醜悪で、怖気さえ感じるおぞましい臭気が皆を襲う。 どうやら機動兵器から発せられているらしいが、ただの兵器にここまでの臭気を発生させられるのだろうか?? まだ敵は動かない。ならばと臭気に負けじとセリナがコンテナから2連装式のガトリングガンを引き出し、グリップを握る。 「ふぅ…みんな下がって! 先制攻撃行くよ!!!」 「ええ、セリナ。お願い。」 セリナは照準を球体のシルエットの中心に合わせ、トリガーを引いた。 先ほどまでの静寂な空気をまさに吹き飛ばすほどの大轟音が響き無数の弾丸が数秒で敵に打ち込まれる。 そして砂煙が晴れる… そこに現れたのは全身を機械で覆った球体型の兵器ではなかった…皆の瞳に映るのは極彩色に彩られ、生物の臓物をぶちまけたかのような肉片が集まったような、そんな代物だった。 そしてその中心にそんなものとは無縁とも思える先鋭的なシルエットをもつ「ロボット」が埋め込まれるかのように存在していた。 ガトリングガンの弾は全てそのロボットの胸部に命中しその表面には無数の穴が開いていたかに思えたが、時間が巻き戻るように修復。さらに肉塊からずるりという音も無く滑り降るかのように抜け出し、降り立った。 その姿は巨大な鉄塔のようであるが、まぎれもないヒトガタ。 いや、しいて言えば腰より下がとてつもなく長いドレスを着込んだ女性のような鋼鉄の巨人だった。 「……ネームレス・ワン」 俺はソレの名前を自然と口にしていた。 「ああ、アレね。30年以上前のゲームでしたっけ」 静菜も知っているようだ。 コレの恐ろしさはよく知っている。 まあ確かに恐怖小説郡を元にしたゲーム…「デモンベイン」の中の存在ではあるがその能力は正に「機械仕掛けの神」という表現がふさわしい。 もちろん本体もそうではあるが、何より面倒なのは後ろに存在する肉塊。 あれはの恐怖小説郡の総称にもなっている狂った世界の神、「クトゥルー」だ。 あの姿、無限心母を取り込んだ状態…なら次に起こす行動は1つ。 おれはインカムを手に取って叫ぶ 「絶対触手に捕まるな!! 捕まると数秒で食われる!!」 俺が叫ぶと同時にクトゥルーから無数の触手が生え、SFFを襲う。 皆飛びずさりながら後退するがセリナだけは臭いにやられたのか、足を取られてしまう。 それを感知した触手は想像を絶する速度でセリナに迫る。一番動きが遅いと「本能」で感じたのもあるだろう。 「こ。こないで!!!」 必死にガトリングを撃つセリナだが触手の数は一向に減らない。そうして1本の触手がガトリングに触れ、溶かしていく。 そうして防御の策を失ったセリナにゆっくりと触手が近づく。 「セリナ!!」 触手をナイフで切り裂き何とかギリギリでファムがセリナを抱え上げて飛翔。 「リン、頼みます!!」 「ハイ!! 撃ち抜け、神雷!!!」 あの衣装を纏った燐が大剣、ザンバーフォームに変形したバルディッシュを大きく振りかぶり、思い切り横薙ぎに振りぬく。 "Jet Zamber" 巨大な黄金の刃が無数の触手を、そして巨人、クトゥルーまでもを切り裂いていく。 もちろんSSFメンバーおよび燐とティアの武装の公式戦用のリミッターは解除され、その上SSF独自のプラグインによって威力はあの事件の時よりも上がっている。 その威力を燐は存分に発揮させているがこれでも多分時間稼ぎにしかならないだろう。 クトゥルーの恐ろしさは何より常識外れの再生能力にある。 この力を借りた敵を倒すのは「デモンベイン」劇中でもたやすくは無かった…少なくともクトゥルー本体を完全に消滅させるレベルでなければ話にならない。 つまりコンテナの反対側に積まれた「切り札」を使わなければいけないのだが、この状況では使えない。 それは目標に接触しなければなんの意味もなさない。 ネームレスワンが身代わりになれば、そこで俺たちの敗北が決まってしまう。 まだ敵は修復中だが触手は範囲内に入ったものを捕食する自動プログラムなのだろう、キャルが適当に投げたガトリングガンの破片を瞬時に捉え、食す。 「これだと近づけないわね、どうする?」 「やっぱり"あれ"はまだ使わないほうが、起動から敵への到達までの時間をこのままだと稼げません。せめて後5人いたら…」「5人…望み薄。 後ろの部隊もまだドンパチやってるよね、静菜さん?」 エイナが静菜に確認する 「そうね、どう考えても貴女たちがいる階層に到達するのは今のペースなら3時間後。持たないわ。」 「ん?? 隊長。 識別不明の5機の兵器??を確認。 ものすごいスピードでこっちに向かってます!!」 「識別不明? 警戒して」 「はい……?? 突然反応が消えました。 ジャマーか何かを使用したとおもわれますが、ウチのセンサーから逃げるなんて」 「…」 静菜は顔を引きつらせる。 「ファム!! 皆、装備を整えなさい!!」 そう静菜が叫んだ瞬間、ネームレス・ワンの周りに5体の新たなヒトガタが出現した。 「なんともひねりが無い、逆十字の登場ね。」 現れたのはネームレス・ワンほど巨大ではないが神姫の3倍はある巨体。同じく「機械仕掛けの神」と呼ばれる存在だった。 ベルゼビュート、ロードビヤーキー、クラーケン、サイクラノーシュ、皇餓。 その5体は瞬時にSSF各メンバーに取り付いた。 ベルゼビュートはファム、ロードビヤーキーはエイナ、クラーケンはメイ、サイクラノーシュはセリナ、皇餓はキャルに。 そして…消えた。 「強制転送か!!」 「皆を追って」 「了解」 そうして一がキーボードを叩く。 「座標判明。 見事に5箇所に分断されてます。 お互いに助けに行くのは難しいです。」 「皆。自分の神姫のサポートに全力を尽くして。 私もコンソールに付きます。」 そうして隊長席から腰を上げた静菜は一の横の開いたコンソールに座る。 「もう、失うのはイヤだから…」 そう呟いた。 「亮輔、私もティアの助けになれるかな?」 俺の後ろで言葉を発さず見守っていた茉莉が言う。 「ああ、声だけでも十分だ。」 「わかった、私もがんばるね。」 そうしてSSF本部に設置されたの7つのコンソール全てが埋まった。 「燐、ティア。お前達が本命担当だ。 思いっきりやるぞ!」 「コテンパンにしちゃえ!」 「ハイ、マスター、茉莉!!!」 「ええ、分かってますわよ!!!」 ~燐の15 「無垢なる刃」~
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/281.html
そのじゅういち「勝ち負けよりも価値ある性質の立ち合い」 僕が武装神姫のオーナーだという事が学校で噂になった。 原因はもちろんあの女――モトカノをあの女呼ばわりもアレだけど――があること無い事吹聴してまわっている為だけど、それに伴って僕にとっては懐かしい事すら噂になっていた。 あんまり僕にとって愉快じゃない事なんで、明言は避けとくけど、まぁ、若気の――といっても今でも若輩なんだけど――至りってヤツで。 ついでと言っちゃついでなんだけど、僕に美人の彼女がいると言う噂までおまけに広まったもんだから、ここの所、どーにも学校が居心地よくない。 人の噂も七十五日とは言うけど、二ヵ月半もこんな噂に悩まされ続けるのかと考えると、自然と憂鬱になるというもの。 というか、年明けちゃうし。 更に更に、この噂のせいで、僕は今年一杯の部活動の禁止を顧問に言い渡された。 曰く、「精神修行であるこの場に、たかだか一学年の間とは言え他のものの集中を邪魔する原因を置いておくわけにいかん」とか。「お前の所為ではないのだが、スマンな」とも言ってくれはしたけど、僕の意思は無視ですか? でも、僕としてもそれはありがたい事でもなくもなく。 ……やっぱりどうしたって学校が居心地悪いわけだから、それこそ放課後はさっさと学校から逃げ出したい訳だから。 かと言って、毎日開き直って神姫バトルを繰り返すだけのゆとりがあるわけでも無いので、学校には秘密で短期バイトでも探そうかとも思いながら、それでも僕は1時間20分電車に揺られて、平日だって言うのにエルゴまで来ていたりする。 ……バカだなぁ、僕。 今日はせっかく学校が早く引けたのに、なんだかチョット時間無駄にしてる様な。 何で休日にしなかったのか。バカだなぁ、僕。 「とはいっても先立つものも無いしなぁ……」 「ですぅ~」 懐のさびしさに僕とティキは思わず同じタイミングでため息を吐く。 なんで金欠だってのにわざわざ1時間20分強の時間を費やしてるのか。つくづくバカだなぁ、僕。 そんなに自分のことをバカだバカだといってても凹むだけなんで、気を取り直して僕は店内へと入った。 どうでもいいけど、神姫もため息って吐くもんなんだな。……ホントにどうでもいいことだけど。 「「「いらっしゃいませ」」」 店長とは明らかに違う、女の人の声が三つ、同時に発せられる。 一つはこの店のシンボル、『ウサ大明神様』ことジェニーさん。他の二人の声は、聞いたことの無い声。 と言っても、僕はこの店に来るのがまだ二度目なので、バイトの人だとしても知らなくて当然なんだけど。 一人は接客をしている女の子。僕と同じか、一つ二つ上くらい。高校生なのは見ただけで丸わかり。だって、制服着てるし。 もう一人は神姫。TYPE 吼凛。なんだか商品モデルをやってる風。うん。このハウリン、接客している彼女の神姫みたいだ。一応、距離感でそれくらいはわかる。 でもこのハウリンがアノ有名な魔女っ子神姫だなんてその時の僕には知る良しも無く。後々に思えばすごくもったいない。……写真でも一緒に取れたら式部に自慢できたのに! 「こんにちは、ジェニーさん。店長さんいますか?」 レジで店番をしているジェニーさんに話しかける僕。この前来た時、思わず『ウサ大明神様』と呼んでしまったが、彼女はどうやらあまりそういう風に呼んでもらいたくないらしい。 「お久しぶりですね。今、二階に居ますよ」 ジェニーさんはまだ二回目の僕の事を覚えてくれていたらしい。……神姫なんだから当然と言ってしまえば当然だけど、うれしかったりする。 「二階……筐体コーナーですね。でも、あれ? なんか随分盛り上がってますねぇ?」 事実、二階からどよめきとも喚声ともつかない一種異様な音がもれ響いている。 「チョットしたハプニングと言うか、イベントと言うか……」 ジェニーさんは苦笑を浮かべながらなんとも歯切れの悪い事を言う。 「? とにかく行ってみるですよぉ♪」 ティキは好奇心が抑えきれないと言う風にウズウズしている。 僕としてもそこら辺はティキと同じ気持ちなので、ジェニーさんにお礼を言うと、二階へと向かった。 二階は異様な熱気に包まれていた。 3on3の、所謂チーム戦。それがただのチーム戦なら、こんなにも盛り上がりを見せる事は無い。 まず参加者が凄まじい。 セカンドリーグで名を馳せる『D-コマンダー』と言えば、知らないやつはそう居ない。かくいう僕も、実際そのバトルを見た事は無いが、チーム戦におけるファースト昇進の壁と言われる風評を知らないわけが無い。 片や相手チーム。オーナーブースに二人いる変則マッチだけど、神姫はそれでも三姫。このメンバーもすごい。 『隻眼の悪魔』・『神速の紅眼』・『紅き眼の狙撃手』・『紅の剣客』・『朝霧の紅眼』……などと幾つもの二つ名を持ちながら結局固体名そのままの名で呼ばれることの多い隻眼のストラーフ、十兵衛。 二つ名を持たないまでもその戦闘スタイルから『ケット・シー』と揶揄される事も多いマオチャオ、ねここ。 最後の一姫はさすがにその手の情報に疎い僕だから名前まではわからないけど、それでもそのハウリンの戦闘スキルは、見ただけでその高さを窺い知れる。 「おい、ティキ…… 僕達、とんでもない時にとんでもないタイミングで来たみたいだ……」 こんなカード、早々見られるもんじゃない。と言うか、絶対お目にかかれない。 今、この場所以外のところでは。 「全てを吸収なんて、できるはず無いけど、それでも絶対に参考になるから、見逃しちゃダメだ」 「……ハイです!」 いつもにも増して真剣な僕とティキ。僕らはそのバトルに釘付けになった。 中でもやはり注目しちゃうのは、同じマオチャオであるねここ嬢だろう。基本は同じ特性を持っているわけだから、一番参考にしやすいって言うのもあるのだけれど。 迫力のバトルは終わりを告げ、僕は今サブモニターでのエキシビションとして流れてるさっきまでの試合を眺めていた。 周りはそのときの熱気のままに、バトルが盛り上がっているけど、僕はそのあまりのレベルの高さに、試合が終了したと同時に脱力してしまっていた。 格好悪いけど、腰が抜けたんだ。 そんな僕の頭の上で、上手にバランスを取って座っているティキも、その眼はサブモニターを注視していた。 エキシビションのねここ嬢を見ながら、僕は誰に向けるわけでもなく小声で言う。 「すっげー、すっげー、すっげー。 あんな挙動、参考になんないよ。あんな、『幻惑する流星』のごとき、『切り裂く雷神』のごとき挙動なんて」 多分僕は放心状態で、ティキにしてもきっと衝撃的な体験で。 でもそれでも。 きっとティキもそう思っているんだろうけど。 その地平に憬れて。 そこに立てない自身が悔しくて。 それでもそこに向かう決意を固めてる。 三回目の試合映像を見終えると、僕ら二人はお互いなにも言わず、誰にも何も告げず、大いに賑わっている店内から出て行った。 帰りの電車の中。 僕とティキ――ティキは僕のジャケットの内ポケットの中――は、バトルの余韻と、不甲斐ない自分達に向けられた悔しさに当てられたままに電車に揺られている。 「あっ!」 内ポケットでティキが声を発した。 何事かと思いコッソリとティキを覗く。ポケットの中のティキは何処か驚いたような顔をして―― 「あっ!」 そして僕も思い出す。 店長さんに、相談しようと思ってわざわざエルゴまでやって来た事を。 終える / もどる / つづく!